エンジニア転職の履歴書で失敗しない15のポイント
「履歴書って、どこまで書けばいいの?」「技術的なことって、どうアピールすればいいの?」
エンジニアとして転職を考え始めたとき、多くの人が最初に悩むのが履歴書の書き方です。新卒のときとは違い、実績やスキルをどう伝えるかで評価が大きく分かれます。
とはいえ、情報が多すぎて何から手をつければいいのかわからない方も多いはず。
この記事では、エンジニアの転職に特化した履歴書の作成ノウハウを、実際に採用担当が見ているポイントをふまえて丁寧に解説します。
- 新卒用との違いと注意点
- スキルや実績を伝えるための書き方
- 使いやすいテンプレートの紹介
- 英文レジュメへの対応方法
- 提出時に気をつけたいマナーやチェック項目
「どんな職種でも通用する履歴書を作りたい」「せっかくの経験を正しく伝えたい」と感じている方は、ぜひ参考にしてみてください。
エンジニア向け履歴書の基礎知識
転職用履歴書と新卒用の違い
エンジニアが転職する際に作成する履歴書は、新卒時に使ったものと大きく異なります。
結論から言えば、転職用履歴書では「即戦力としての実績」や「どんな開発経験を積んできたか」が問われるのに対し、新卒用は「将来性」や「人柄」が重視されます。
この違いを意識しないと、書類選考で不利になってしまうこともあるため注意が必要です。
- 新卒用:学歴・自己PR・学生時代の活動が中心
- 転職用:職歴・スキル・実績・業務経験の明記が必須
- 企業側の期待:即戦力として現場にフィットするかどうか
たとえば、新卒時には「サークルのリーダー経験」や「ゼミでの研究」を主に書いた方でも、転職時には「Javaを用いた顧客管理システムの開発」「アジャイルチームでの運用設計」など、実務ベースの内容に変えていく必要があります。
「昔の履歴書のままじゃだめかな?」と感じた方は、一度書き方をゼロから見直すことをおすすめします。
履歴書と職務経歴書の役割分担
転職活動では、履歴書と職務経歴書の両方を提出するのが一般的です。
それぞれの書類には異なる目的があり、役割を理解したうえで使い分けることが大切です。
履歴書は、あなたの基本情報や経歴の「概要」を伝える書類です。これに対して職務経歴書は、「具体的にどんな業務を経験し、どのような成果を上げてきたか」を詳しく伝えるための書類です。
- 履歴書:氏名、住所、学歴、職歴などの基本情報が中心
- 職務経歴書:プロジェクト詳細、使用技術、成果などの業務内容
- 位置づけ:履歴書でスクリーニング、職務経歴書で深掘りされる
エンジニアの場合、履歴書だけではスキルや経験が伝わりにくいため、職務経歴書とのセット提出が必須とされています。
「職務経歴書って必要ですか?」と疑問を持つ方もいますが、技術力や貢献度をアピールするには欠かせない書類です。
採用担当がチェックする重要ポイント
経歴の一貫性と成長ストーリー
転職時の履歴書では「一貫性のあるキャリア」と「成長の軌跡」が重視されます。
なぜなら、企業はエンジニアがどのような経緯でスキルを習得し、どのような意図で転職してきたのかを知りたいためです。
たとえば「Web制作→フロントエンド→SPA構築」と段階的にキャリアアップしていれば、スキルの深掘りや向上心が伝わります。
逆に、業務内容が毎回大きく異なる場合でも「どうしてその変化が必要だったか」「何を学び、どう応用しているか」を補足すれば評価は高まります。
エンジニア職は経験の積み重ねが重要視されます。自分なりのキャリアストーリーを簡潔に示しましょう。
プロジェクト成果の定量的アピール
履歴書や職務経歴書では、抽象的な表現よりも「数字で語る実績」が採用担当に響きます。
なぜなら、数値は客観性があり、読み手が業務のインパクトを把握しやすくなるからです。
- 「アクセス数を月1万→5万に改善」
- 「バグ報告件数を月20件→5件に削減」
- 「APIレスポンス速度を半分に短縮」
こうした定量的な成果を具体的に記載することで、「この人は価値を生み出せる」と印象付けることができます。
自分の担当領域に対して、どのような数字的成果があるかを振り返っておきましょう。
スキルセットの最新性・汎用性
履歴書をチェックする採用担当は、応募者が「最新技術に対応できるか」「他プロジェクトでも応用できるか」を見ています。
理由は、エンジニアの仕事が日進月歩で変化し、チームの柔軟性を損なわない人材を求めているからです。
- 最新:React18、Next.js、TypeScriptなどの導入経験
- 汎用:Git、Docker、AWSなどの複数現場で通用するスキル
- 適応:レガシー→モダン移行などのキャッチアップ力
最新技術に強いことはもちろんですが、どんな開発環境でも貢献できる柔軟性があれば、より高く評価されます。
「この人なら、どこでも戦えそうだ」と思わせる書き方がカギになります。
フォーマットとテンプレートの選び方
手書き・Word・PDF・Webフォームのメリットとデメリット
履歴書の提出形式には、手書き、Word、PDF、Webフォームといった複数の方法があります。
それぞれにメリット・デメリットがあり、応募先や職種によって使い分けが求められます。
- 手書き:熱意や丁寧さが伝わるが、修正に弱く効率が悪い
- Word:修正・編集が簡単だが、フォーマット崩れのリスクあり
- PDF:見た目が安定し、印刷にも強いが編集不可で柔軟性に欠ける
- Webフォーム:企業の管理がしやすく、情報が構造化されやすい
エンジニア職の場合、基本的にはWordかPDFが推奨されます。
「どれを使えばいいのか迷ってしまう」という方は、応募先の指示を第一に確認し、特に指定がない場合はPDFでの提出が無難です。
無料ダウンロードできるおすすめテンプレート
履歴書の書式に悩んでいる方は、無料のテンプレートを活用するのが効率的です。
特にエンジニア向けには、スキルやプロジェクトを整理して書ける構成のテンプレートが用意されています。
以下のような配布サイトが便利です。
- レバテックキャリア:IT系職務に特化した履歴書テンプレート
- マイナビ転職:用途別に選べる複数フォーマット
- エン転職:PDF・Word両対応の汎用型テンプレート
テンプレートを使う際は、「見た目に頼りすぎず、内容で勝負する」意識が重要です。
装飾よりも構成と中身を重視して、自分の強みが伝わるよう整えましょう。
各項目の具体的な書き方
基本情報・連絡先
履歴書の冒頭に記載する「基本情報・連絡先」は、企業からの連絡がスムーズに取れるかどうかを左右する重要な項目です。
氏名・住所・電話番号・メールアドレスなど、記入漏れがないようにしましょう。
特にメールアドレスは、転職活動専用のものを用意すると管理がしやすくなります。
また、エンジニアの場合はGitHubやポートフォリオサイトのURLも合わせて記載すると、スキルの裏付けとなりプラス評価につながります。
職務要約(サマリー)
職務要約は、これまでの経歴をコンパクトにまとめ、採用担当が一読でスキル感を把握できるようにするパートです。
- 開発歴:例「Webアプリ開発5年、うち3年はリーダー経験あり」
- 得意分野:例「JavaScript/TypeScriptによるフロント開発」
- 業務スタイル:例「アジャイル開発に精通。チーム内外との連携重視」
このサマリーは履歴書の「顔」とも言える部分なので、簡潔かつ印象に残る文で構成しましょう。
使用技術・開発環境
ここでは、これまで実務で使用した技術スタックやツール類を記載します。
プログラミング言語やフレームワークだけでなく、CI/CD環境、クラウドサービス、使用エディタまで含めて書くとより具体性が増します。
- 言語:Python, JavaScript, TypeScript
- FW:React, Vue.js, Django
- ツール:GitHub, Docker, Jenkins, AWS(EC2/S3)
技術の羅列にならないよう、「どんな場面でどう使ったか」も加えると理解されやすくなります。
担当業務と成果
各プロジェクトで自分が果たした役割と、その結果生み出した成果を記載します。
重要なのは「何をやったか」よりも「どう役立ったか」を伝えることです。
たとえば「既存のバッチ処理をPythonにリプレイスし、実行時間を60%短縮」など、定量的な成果が望ましいです。
「ただの実行者ではなく、改善・提案もできる人材」と伝えられるように書きましょう。
資格・受賞歴・公開実績
この項目は、スキルや知識を証明する「エビデンス」として機能します。
- 資格:基本情報技術者、応用情報、AWS認定
- 受賞歴:社内表彰、ハッカソン入賞など
- 公開:GitHubリンク、技術ブログ、Qiita記事など
これらは履歴書に信頼性をもたらす材料となります。
実務経験が浅い場合でも、積極的にアピールすると良い印象を与えます。
自己PR・志望動機
自己PRでは、「自分の強みがどう現場で活かせるか」を端的に説明します。
また志望動機では、「その企業で働く理由」と「企業が求める人材像に自分が合致していること」を意識して書きましょう。
たとえば、「toC向けサービスの開発経験を活かし、貴社のプロダクト改善に貢献したい」といった表現が有効です。
テンプレ的な言葉ではなく、自身の経験に裏打ちされた言葉を使うことが信頼感につながります。
職種別・経験別サンプル事例
Webフロントエンドエンジニアの例
Webフロントエンドエンジニアの場合、UI/UX改善やパフォーマンス最適化の実績を重視して書くのがポイントです。
- 開発環境:React、Next.js、TypeScript
- 担当業務:UIデザインのFigma連携/SPA化の実装
- 成果:ページ表示速度を2.5秒→1.2秒に短縮
「視覚的に魅せるスキル」だけでなく、「ユーザビリティを数値で改善」したことをアピールすると効果的です。
バックエンドエンジニアの例
バックエンドエンジニアは、安定性・処理性能・セキュリティ対策に関わる経験を中心に構成します。
たとえば、「API設計〜運用までを一貫して担当し、1日あたりのリクエスト数100万件に対応可能なスケーラビリティを実現」といった形で、負荷対策や拡張性の高さを伝えられると良いでしょう。
データベース設計、インフラ知識も記載することで「一人で完結できる」印象を与えられます。
インフラエンジニアの例
インフラ系は、「止まらない仕組みづくり」にどう貢献したかが評価されます。
- 担当領域:AWS環境構築(EC2, RDS, CloudWatch)
- 導入施策:インフラコードのIaC化(Terraform)
- 成果:定期障害の発生頻度を月5件→0件に抑制
可用性・監視・セキュリティの三本柱に沿って記載すると、読み手に伝わりやすくなります。
未経験エンジニアの例
実務経験がない場合は、「自走力」と「学習成果」を前面に押し出す必要があります。
たとえば、「独学でJavaを学び、ポートフォリオとして簡易掲示板アプリを作成」「GitHubでソースコード公開済み」などの具体的なアウトプットがあると、ポテンシャルを示せます。
また、未経験からエンジニアを目指す理由や、他職種で培ったスキル(論理思考力・プレゼン能力など)を技術職にどう活かせるかを丁寧に書きましょう。
英文履歴書(レジュメ)のポイント
フォーマットと必須項目
英文履歴書(レジュメ)は、日本の履歴書と大きく異なり、定型フォーマットが存在しないのが特徴です。
そのため、自分自身の強みや職務経験を明確にアピールできる構成が求められます。
- Header:氏名、連絡先、LinkedIn URLなど
- Summary:1〜2文で強みを端的に紹介
- Skills:プログラミング・ツール・言語など
- Experience:職務経歴(時系列)、成果中心
- Education:学歴、資格
和文と異なり「顔写真」や「生年月日」は基本的に不要です。欧米企業では年齢や性別を判断材料にしない文化があるためです。
英語での成果表現テンプレート
英文履歴書では「定量的な成果」と「アクションベースの動詞」で書くことが基本です。
以下のテンプレートに当てはめると、表現が洗練され、インパクトが伝わりやすくなります。
- Increased API response speed by 60% through system optimization.
- Developed and deployed a microservices-based architecture using Docker and Kubernetes.
- Collaborated with frontend team to reduce user drop-off rate by 30%.
どのような技術を用いて、どのような課題を解決し、何を達成したのかを明示すると、評価されやすくなります。
英語が苦手でも、構文パターンを覚えておけば意外とスムーズに書けるので、基本の型を繰り返し使いましょう。
NG例と改善チェックリスト
ありがちなミス
履歴書には、うっかりやってしまいがちなミスがいくつもあります。見た目や内容の信頼性に関わるため、細部にも注意が必要です。
- 誤字脱字や日本語の文法ミス
- 写真が古い、またはビジネスマナーに適していない
- 日付や所属の表記が統一されていない
- 転職理由がネガティブに伝わる内容
- 職務要約が漠然としている、または空欄
特にエンジニアの場合、記載された技術と職歴が一致していないと「盛っているのでは?」という不信感につながることもあります。
些細なミスが全体の印象を左右するため、最終チェックは丁寧に行いましょう。
提出前セルフチェック項目
履歴書を提出する前には、以下のチェックリストを使って最終確認を行うことをおすすめします。
- 誤字脱字はないか(声に出して読むと気付きやすい)
- 日付や署名は最新か
- 写真の写り・サイズ・背景が適正か
- 志望動機は企業ごとにカスタマイズしているか
- 技術スタックやプロジェクト内容に事実誤認がないか
加えて、できれば第三者(転職エージェントや同業の知人)にレビューしてもらうと客観的な改善点が見つかります。
「提出直前に読み返したら、自分でも違和感があった…」というケースはよくあるので、少し時間をおいてからの見直しも効果的です。
提出方法とタイミングのコツ
メール添付・ATSアップロードの注意点
履歴書の提出形式として多いのが、メール添付とATS(応募者トラッキングシステム)へのアップロードです。
それぞれに特徴があり、使い方を誤ると内容が正しく伝わらないリスクもあります。
- PDF形式に統一することで、文字化けを防げる
- ファイル名は「履歴書_氏名_日付」など明瞭に
- ATSではレイアウトや装飾を抑え、機械判読しやすい構成に
- メール本文には応募意志や氏名、職種などの要点を添える
とくにATSは、自動解析の都合上、複雑な表や図を多用すると正しく読み込まれない場合があるため注意しましょう。
エージェント経由提出のマナー
転職エージェントを通じて企業に履歴書を提出する場合、基本的にはエージェントが企業との窓口になります。
だからこそ、自分が提出する書類は「エージェントの信用」も背負っていると意識することが大切です。
誤字や日付ミスがあると、エージェントの信頼にも影響を与えかねません。
また、提出期日が近づいたときの対応力も見られます。万一間に合わない場合は、即座に連絡する姿勢が求められます。
「志望動機の方向性が似てしまう」「複数社への志望が混ざる」などのミスもよくあるので、最終提出前にはエージェントのフィードバックを受けながら自分でも再確認しておきましょう。
エンジニア転職エージェントの履歴書サポート
添削サービスの活用方法
転職エージェントを活用する最大のメリットの一つが、履歴書・職務経歴書の添削サポートです。
自分では完璧だと思っていても、採用側の視点で見ると「伝わりにくい」ポイントが意外と多いものです。
- 記載内容が抽象的すぎる
- 志望動機が企業ごとにカスタマイズされていない
- 実績の表現が数字や成果に落とし込まれていない
エンジニア専門のエージェントであれば、技術トレンドや企業ごとの評価軸に精通しており、精度の高いフィードバックが期待できます。
一人で悩まず、積極的に添削を依頼して、第三者の視点でブラッシュアップしましょう。
ポートフォリオ連携のすすめ
履歴書と合わせてポートフォリオを提出することで、技術力を視覚的にアピールすることができます。
とくにフロントエンドやアプリ開発経験がある場合、デザインやインタラクションのクオリティを見てもらう絶好の機会になります。
ポートフォリオに記載すべきポイントは、以下の通りです。
- プロジェクトの目的や背景
- 使用した技術やツール
- 自身の担当範囲と成果
- コードへのリンク(GitHub等)
エージェントによっては、ポートフォリオに関するアドバイスや、提出のタイミングも含めてサポートしてくれる場合があります。
履歴書だけでは伝えきれない技術力を示す手段として、積極的に活用しましょう。
まとめ:エンジニア履歴書の質が転職成功の鍵を握る
履歴書は、エンジニアとしてのキャリアを次のステージへと導く最初のプレゼン資料です。
なぜなら、履歴書はあなたのスキルや価値を「言葉」と「構成」で企業に届けるツールであり、書類選考の通過率を大きく左右するからです。
本記事では、履歴書作成において重要となる以下のようなポイントを解説しました。
- 新卒と転職で履歴書の目的・構成が異なる
- 経歴・スキルは定量的にアピールする
- フォーマット選びやファイル名にも配慮する
- 英語レジュメでは成果と行動を簡潔に表現
- エージェントの添削やポートフォリオ提出を活用する
履歴書は「手間をかけた分だけ、返ってくる」ものです。
形式的に書くのではなく、自分の強みを丁寧に伝え、あなたの価値を正しく評価してもらうための一歩として活用していきましょう。