【エンジニア向け】転職面接で「苦労したこと」を聞かれた時の答え方7ステップ
「転職面接で『これまで苦労したことは?』と聞かれると、いつも答えに詰まってしまう…」
そんな悩みを抱えていませんか?
特にエンジニア職では、技術力に加えて、課題解決能力やチームワークも求められるため、苦労話の伝え方次第で評価が大きく変わります。
この記事では、面接官の意図をしっかり押さえながら、「苦労したこと」を自信を持って語れるようになる具体的な方法を解説します。
- 質問の意図を理解して、的外れな回答を防げる
- STAR法で論理的かつ印象的に話せる構成が身につく
- エンジニアに多い失敗パターンとNG例も解説
- よくある追加質問への答え方も準備できる
この記事を読めば、あなたの経験が「評価されるストーリー」に変わります。
面接前にぜひチェックしておいてください。
面接官が「苦労したこと」を質問する理由
問題解決能力を測るため
エンジニアの面接で「苦労したこと」を問われる背景には、あなたの課題対応力を知りたいという意図があります。
単なる成功体験ではなく、困難をどう乗り越えたかという視点から、論理的思考や冷静さが測られます。
たとえば、システムトラブルが発生したときに焦らず原因を切り分け、関係者と連携しながら解決に導けた経験などが好例です。
「トラブル→原因分析→対策実施」という流れを意識し、自分の行動にフォーカスして語りましょう。
学習意欲と成長性を確認するため
- 新技術を自ら学んで導入した経験があるか
- 過去のミスを次にどう活かしたか
- 失敗からポジティブに成長できたか
面接官は「一度失敗したら終わり」と考える人より、「挑戦から学び、次につなげる」姿勢のある人を評価します。
たとえ小さなトラブルでも、その後の行動に注目して話すと、前向きな印象を与えることができます。
チームワークとコミュニケーション力を把握するため
技術だけでなく、周囲と連携できるかも重要視されます。
たとえば「プロジェクトの進行が遅れていた時、自ら進捗会議を提案し改善した」といった例は好印象です。
エンジニアリングにおける多くの課題は、チーム内の意思疎通で解決できます。
協調性の高さや、相手に配慮したコミュニケーションができるかを示すことがポイントです。
「職場での人間関係が苦手でうまく話せません」という悩みを抱える方も多いですが、努力や工夫の姿勢が見えるエピソードなら、むしろ好意的に受け止められます。
回答を作るステップ(STAR法で具体化)
Situation ― 背景と課題を簡潔に示す
まずは「いつ・どこで・どんな状況だったか」を簡潔に伝えましょう。
- プロジェクトの背景(例:納期が短い新規開発)
- 当時の自分の立場(例:入社1年目のサーバー担当)
- 直面した課題(例:設計ミスによるシステム不具合)
前提条件を整理することで、相手に話の全体像が伝わりやすくなります。
情報を詰め込みすぎず、1〜2文で収まるように意識しましょう。
Task ― 自分が担った役割を明確にする
次に、その場面であなたがどんな役割を担っていたかを明確にしましょう。
例えば「開発リーダーとして設計のレビューを行った」「若手として運用手順を作成した」など、
自分の立場と責任範囲を示すことで、問題解決における主体性をアピールできます。
「ただ任された作業をこなした」ではなく、「任務に対して自分なりに考えた」という視点が伝わると説得力が増します。
Action ― 取った行動を技術面・行動面両方で説明
- ボトルネックを特定するためにツールを導入した
- 技術的負債をドキュメント化し改善計画を立てた
- 関係部署と連携してプロジェクト進行を支援した
単に「頑張りました」ではなく、何を・どう工夫して行動したかを具体的に伝えましょう。
特にエンジニア面接では、技術的なアプローチだけでなく、他者との連携や改善提案といった「行動力」も評価されます。
Result ― 客観的な成果と学びで締めくくる
最終的にどのような成果につながったか、数字や評価を交えて簡潔に伝えます。
たとえば「対応後、システム停止件数が月5回→0回になった」「上長から改善提案が評価され、正式導入された」など、
第三者視点でも「効果があった」と分かる表現を使うと好印象です。
また、最後に「この経験から〇〇の重要性を学びました」といった学びを一言添えると、成長性も印象づけられます。
エンジニアが語りやすい苦労エピソード例
納期遅延プロジェクトを立て直した経験
納期遅延の経験は、多くのエンジニアにとって共通の苦労話です。
「なぜ遅延したのか」「自分は何をして巻き返したのか」が語れると好印象につながります。
- 要件変更による再設計対応
- タスクの優先順位見直しと工数再調整
- 進捗管理表の導入と情報共有ルールの整備
「厳しい状況でも諦めず、前を向いて対策できる人」という印象を残せるテーマです。
パフォーマンスチューニングでボトルネックを解消した経験
Webアプリケーションや社内システムで、処理速度が遅くなる問題は避けて通れません。
このような状況で「何を根拠にボトルネックを特定し、どう対処したか」は面接官が注目するポイントです。
たとえば、SQLクエリの非効率な書き方や、API呼び出しの回数が多すぎたことが原因だったケースもあります。
「APMツールを活用し、メソッド単位で応答時間を調査した結果、データベース接続がボトルネックだった」など、
技術的根拠を持って改善に取り組んだ流れを整理して語ると、実践的なスキルの高さを伝えられます。
「開発だけでなく、パフォーマンス観点でも全体を見られる人材」という印象を持たせることができます。
チーム内コミュニケーション不全を改善した経験
- 情報共有不足でタスクの重複が頻発
- 意思疎通ミスで設計方針に食い違いが発生
- リモート勤務で孤立感が高まり、連携に支障
技術的な話だけでなく、チームの雰囲気や信頼関係も開発の品質を大きく左右します。
「週次ミーティングのフォーマットを刷新し、KPTで振り返りを始めた」
「Slackのスレッド運用を統一し、誰が何をしているか見える化した」など、
小さな工夫で改善したことを伝えると、マネジメント視点もあることをアピールできます。
レガシーシステム移行トラブルを解決した経験
オンプレ環境からクラウドへ、あるいはVBからPythonへといった技術の置き換えは、移行時にトラブルが多発します。
特に既存仕様が不明確だったり、互換性のない技術の置き換えでは、
「想定外のバグ」や「属人化された設定」がボトルネックになりがちです。
このような場面では、「どのように調査し、誰と連携して、どう落としどころを見つけたか」まで話せると、
技術力+プロジェクトマネジメント力の両面で評価されます。
「過去コードをGitで可視化しながら差分分析した」「ステークホルダーとの折衝で現実的な移行手順を合意形成した」など、
泥臭い努力も惜しまず取り組んだ姿勢が伝われば、非常に好印象です。
強い印象を残すためのテクニック
具体的な数値とファクトで説得力を高める
- レスポンス時間を2.5秒 → 0.8秒に改善
- エラー率を15% → 2%に削減
- 作業工数を約30%削減し、リリースを1週間前倒し
数字は説得力を生み出します。感覚的な表現よりも、可能な限り具体的な数値を提示しましょう。
数値が難しい場合も、社内の評価コメントやユーザーからのフィードバックなど「事実ベース」の情報で補うと信頼感が上がります。
学びを次の職場でどう活かすかを語る
過去の苦労話を語るだけで終わるのはもったいありません。
その経験から何を学び、次の職場でどう活かせるのかを伝えることで、未来志向の姿勢をアピールできます。
たとえば「短納期での設計トラブルを通じて、要件定義の重要性を実感し、今では最初の仕様確認に最も注力するようになった」といった形です。
自分の行動指針がどう変化したのかを語ると、「この人は学びを行動に変えられる人だ」と思ってもらえるでしょう。
自己PRや志望動機との一貫性を持たせる
「苦労したこと」エピソードは、自己PRや志望動機と矛盾がないように整えることも重要です。
- 志望動機で「技術探求心が強い」と語ったなら、技術課題に粘り強く対応した経験を
- 「ユーザー志向」をPRしたなら、UX改善の試行錯誤を語る
- 「成長環境を求めている」と言ったなら、前職での学びが次に活かせる文脈を
一貫性のある話し方は、論理的で信頼できる印象を与えます。
話す内容がバラバラだと「作ってきた話なのかな?」と感じられてしまうので注意しましょう。
避けるべきNG回答とその理由
他責思考が透ける発言
「上司の指示が曖昧だったから失敗した」「顧客が無理を言ってきたので…」といった、他者に原因を押しつける表現は避けるべきです。
苦労話はつい不満のトーンが出やすいですが、聞き手にネガティブな印象を与えるリスクがあります。
あくまで「その状況で自分にできたこと」に焦点を当てるようにしましょう。
成果が不明確・抽象的な説明
「いろいろ頑張った」「周囲と協力した」などの抽象的な話では、面接官に伝わりません。
特にエンジニア職では、再現性のあるスキルや行動を求められるため、具体性が不可欠です。
課題→行動→成果の流れを明確にし、「自分がどう貢献したのか」が伝わる構成を意識してください。
情報漏えいリスクのある内容
実際の顧客名や社内の機密技術、セキュリティ体制など、外部公開すべきでない情報には細心の注意を払いましょう。
あくまで「どのような課題にどう対応したか」を中心に話し、具体的な企業名や数値は避けるか、ぼかして表現するのが無難です。
よくある追加質問と切り返し方
その経験から何を学びましたか?
この質問はほぼ確実に聞かれます。経験を「過去の話」で終わらせず、今の自分にどうつながっているかを示す意図があります。
「あの失敗以降、常に早い段階でコードレビューを行うようにしています」など、行動が変化したことを具体的に伝えましょう。
再発防止のためにどんな取り組みをしましたか?
トラブルが起きたあとの「再発防止策」は、課題への本質的な向き合い方を測る重要な質問です。
- チェックリストを作成して作業を標準化
- コードレビューやテストの手順をルール化
- 定期的な振り返りをチームで実施
個人の努力だけでなく、チームや組織全体の改善につながる取り組みが語れると、視野の広さや再発防止への本気度が伝わります。
似た状況が起こったら次はどう行動しますか?
これは「学びを行動に活かせるか」を確認する意図の質問です。
「過去の失敗を経て、今ならこう動く」という改善思考を示すことで、次の職場での再現性を伝えましょう。
たとえば、「次は要件定義の段階で開発メンバーとのレビュー会を設けます」といった、具体的な行動計画があるとより効果的です。
エピソードが思いつかない場合の対処法
日々の業務を棚卸しして小さな課題を深掘りする
「大きなトラブルなんて経験していない…」という方も心配はいりません。
面接で求められているのは「苦しんだ度合い」ではなく、「課題にどう向き合ったか」です。
たとえば「社内ツールの仕様が分かりにくくて、使いこなせなかった」など、小さな困りごとでも構いません。
「なぜ困ったか→何をしたか→どうなったか→何を学んだか」の視点で掘り下げていくと、十分通用するエピソードに育ちます。
学生時代・プライベートでの挑戦も視野に入れる
特に若手や第二新卒では、社会人経験が浅く実務エピソードが乏しいこともあります。
- 卒業研究でのトラブル対応
- アルバイトでのクレーム処理経験
- 個人開発での挫折と復活
重要なのは「自分の力で考えて乗り越えた経験かどうか」です。形式や場面にとらわれず、熱量を持って話せる経験を選びましょう。
チームメンバーや上司にフィードバックをもらう
「自分では当たり前にやっていたこと」が、実は周囲から見て高く評価されている場合もあります。
信頼できる先輩や同僚に、「自分が苦労していたことや、助けになった行動があったか」を聞いてみましょう。
第三者の視点が加わることで、思わぬエピソードが見つかることもあります。
事前準備チェックリストと練習方法
エピソードを箇条書きで整理する
- 背景・役割・課題・行動・結果・学び
- 時系列で整理し、1〜2分で話せるように
- 一貫性と具体性を意識して構成
いきなり口頭で話そうとすると、伝えたいことが整理できず詰まってしまいがちです。
まずは紙やメモに書き出し、論理的にまとまっているかを確認してから練習しましょう。
録音・録画して話し方を改善する
自分の話し方を録音・録画して振り返ることで、「早口すぎる」「言い回しが分かりづらい」などの改善点が見えてきます。
できれば3回以上話してみて、テンポや抑揚、表情の使い方まで確認しておくと、面接本番でも落ち着いて話せます。
模擬面接で第三者から客観的な評価を受ける
一人での練習では気づけないクセや不足もあるため、模擬面接の実施は非常に効果的です。
転職エージェントやキャリアコンサルタントの模擬面接を活用すれば、実践的なアドバイスをもらえます。
親しい友人に依頼しても構いませんが、客観性と厳しさを持ったフィードバックをもらえると、完成度が大きく変わります。
まとめ:エンジニア面接の「苦労したこと」は成長と適応力のアピールチャンス
エンジニアの転職面接において「苦労したこと」を問われた際は、自分の課題対応力・学習姿勢・チーム貢献の力を具体的に示すチャンスと捉えましょう。
この質問は、あなたの問題解決能力や成長性、協調性など、エンジニアとしての総合力を評価するために活用されるためです。
この記事では以下のようなポイントを押さえて解説しました。
- 面接官が重視するのは「課題への向き合い方」と「再発防止への意識」
- STAR法で「状況→役割→行動→結果」の構成を意識すると伝わりやすい
- 数値や具体的な成果を入れることで説得力が大きく向上
- 自己PRや志望動機との一貫性を持たせると印象が深まる
- 小さな業務でも深掘りすれば十分なエピソードになる
「苦労したこと」はネガティブな話ではなく、ポジティブな成長の証として活用できるテーマです。
この記事を参考に準備を進め、自信を持って自分の経験を語ってください。