税理士

税理士が一般企業に転職する理由と成功の5ステップ【2025年版】

yoshiharu

「税理士としてこのままでいいのか…」「会計事務所の働き方に限界を感じている」

そんな悩みを抱えている方は少なくありません。特に近年では、税理士資格を活かして一般企業へ転職する動きが加速しています。

とはいえ、実際に踏み出すには不安も多いはずです。

  • 企業に転職すると年収は上がるのか?
  • 実務経験や科目合格でも通用するのか?
  • どんなスキルが企業では求められるのか?
  • 面接でどうアピールすればいいのか?
  • 企業転職後のキャリアパスはどうなるのか?

この記事では、こうした疑問をすべて解消しながら、税理士が企業で活躍するためのステップや成功事例までを丁寧に解説します。

「資格を活かしてもっと自由なキャリアを築きたい」そう考えるあなたにとって、新しい可能性の扉を開くガイドになるはずです。

一般企業へ転職する税理士が増えている背景

採用ニーズが拡大している業種と職種

結論から言えば、一般企業における税理士の需要は年々拡大しています。

  • 経理・財務部門でのニーズが中心
  • 内部統制や税務戦略の強化を求める声が増加
  • スタートアップや外資系企業も積極的に採用

とくにM&Aやグローバル展開を進める企業では、社内に高度な税務知識を持つ人材を確保する動きが活発です。外部に依頼せず、内部にノウハウを蓄積したいという「内製化」の流れが背景にあります。

「本当に転職先があるのだろうか?」と感じる方もいるでしょうが、業界によっては税理士の採用が追いつかないほど需要が高まっているのが現状です。

コロナ禍以降の市場動向とリモート需要

2020年以降のコロナ禍を機に、企業の働き方や税務体制にも大きな変化が起こりました。

  • リモートワーク対応の税務・経理職が拡大
  • 電子帳簿保存法やインボイス制度など法改正対応が急務に
  • 会計システムやクラウド化に対応できる人材のニーズが上昇

とくに中堅〜大手企業では、経理業務の効率化やデジタル化を背景に、専門性の高い人材を社内に確保しようという動きが顕著です。税理士はそのスキルセットから、IT・法令対応の両面で頼れる存在として評価されています。

「リモートワークで専門職が務まるのか?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、むしろ場所にとらわれない働き方が可能になったことで、より柔軟なキャリア形成が現実のものとなっています。

会計事務所勤務と一般企業勤務の違い

業務内容・役割の比較

税理士が働くフィールドとして、会計事務所と一般企業では業務内容に大きな違いがあります。

会計事務所では、顧客である企業の税務申告や決算支援、会計監査、経営相談など幅広い業務を担当します。常に複数のクライアントと関わるため、迅速な対応力や業種ごとの理解力が求められます。

一方、一般企業では基本的に自社の経理・財務・税務に関する業務が中心です。月次・年次決算、法人税申告、予算策定、資金繰り、場合によってはグループ会社の連結決算対応まで担います。

つまり、会計事務所では「顧問」として外部支援に徹するのに対し、一般企業では「社内の一員」として経営に密接に関わるのが大きな違いです。

「どちらが専門性を活かせるの?」という問いに対しては、自分の働き方や目指すキャリアによって最適な選択は変わってくるでしょう。

ワークライフバランスと働き方

働き方という観点で比較すると、会計事務所と一般企業では明確な違いがあります。

会計事務所では、確定申告や決算期などの繁忙期に業務が集中しやすく、長時間労働や休日出勤が発生することも珍しくありません。クライアントのスケジュールに合わせた対応が必要なため、柔軟性が求められる一方で、プライベートの時間が制限されがちです。

対して一般企業では、年間の業務スケジュールが比較的安定しており、繁忙期も社内で計画的にコントロールされる傾向にあります。有給取得や残業時間の管理も厳格化されている企業が多く、育児や介護と両立しやすい働き方を実現しやすくなっています。

「忙しさが変わらないのでは?」という不安もありますが、社内業務に特化することで時間の使い方を調整しやすくなるのは一般企業ならではのメリットです。

年収・評価制度の違い

年収面で見ると、会計事務所と一般企業では給与体系に明確な違いがあります。

会計事務所の場合、成果報酬型や年功序列的な要素が強く、所長やパートナーといった上位ポジションに昇進しなければ大きな年収アップは難しい傾向にあります。中小事務所では年収500〜600万円前後に留まるケースも多く、個人の業務量に報酬が比例する構造です。

一方、一般企業では職能等級や役職に応じた明確な評価制度が整備されているため、継続的にキャリアアップすることで年収も着実に上がっていく仕組みです。経理・財務部門であれば、年収700〜900万円以上の水準に到達することも珍しくありません。

さらに、賞与や福利厚生が充実している点も見逃せません。企業年金や住宅補助など、長期的な資産形成を支える制度が整っている場合も多く、総合的な待遇面では企業勤務のほうが有利とされることもあります。

「税理士なのに年収が下がるのでは?」という不安もありますが、むしろキャリアの積み方次第では大きく上回る可能性があるのが一般企業の特徴です。

一般企業で求められる税理士のスキル・経験

経理・財務部門で活かせる実務スキル

税理士が一般企業に転職する際、最も重視されるのが「実務スキルの即戦力性」です。

  • 月次・年次決算の対応経験
  • 法人税・消費税の申告業務
  • 固定資産管理や減価償却の知識
  • 会計ソフト(勘定奉行・freeeなど)の実務操作

これらのスキルは、特に中小企業やスタートアップにおいて「経理部門の中核」としての活躍を期待される場面で評価されます。また、決算開示・税務調査対応・内部監査といった業務も、税理士ならではの知識が求められる領域です。

「会計事務所経験だけで通用するの?」と心配になるかもしれませんが、企業の現場ではむしろその経験が武器となる場面が多くあります。

科目合格・資格の評価ポイント

税理士試験の科目合格者でも、企業への転職においては一定の評価を得られる場合があります。

特に評価されやすいのは、法人税法・消費税法・簿記論といった実務に直結する科目です。これらを履修していることで、経理・税務の基礎力があるとみなされ、ポテンシャル採用の対象になるケースも増えています。

また、近年では税理士試験の合格状況よりも、実際の業務経験やマネジメント力を重視する傾向も強まっており、未登録の科目合格者であっても、意欲と実績があれば十分にチャンスはあります。

「資格がないと転職は難しいのでは?」と思う方もいますが、企業によっては「実務経験+意欲」を重視する採用スタンスを取っている場合も多く、柔軟な対応が可能です。

コミュニケーション・英語力など補完スキル

税務や会計の専門知識に加えて、企業で働くうえで評価されるのが「補完スキル」です。

  • 部門間の調整や会議での発言力といったコミュニケーション能力
  • 資料作成・プレゼンに活かせるビジネス文書スキル
  • 外資系企業や海外子会社との連携で活きる英語力

とくに近年は、単に経理業務をこなすだけでなく、経営層や外部ステークホルダーとの橋渡し役としての役割も求められています。そのため、コミュニケーション力の有無が年収にも影響を及ぼすケースが少なくありません。

また、英語力については「読み書きレベル」での対応ができれば歓迎される傾向があり、TOEICスコアなどの証明があればアピール材料になります。

「専門職だから話せなくても大丈夫?」という疑問もありますが、企業では“伝える力”が活躍の幅を広げてくれる要素となります。

企業内税理士の年収とキャリアパス

平均年収レンジと年齢別の目安

企業内税理士の年収は、会計事務所勤務と比べて構造が異なり、年齢や役職によって大きく変動します。

  • 20代後半:400万円〜550万円
  • 30代前半:500万円〜700万円
  • 40代以上:700万円〜900万円以上も可能

特に上場企業や外資系企業などでは、年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。役職がつくことで基本給・賞与のほか、ストックオプションや業績連動ボーナスが加わることもあります。

また、評価制度が明確な企業では、成果に応じた昇給・昇格のチャンスも多く、継続的に高年収を狙える環境が整っています。

「税理士資格を取ったけど、収入が思ったより伸びない…」と感じている方には、企業内という選択肢が年収向上の有力なルートとなるでしょう。

年収を上げやすいポジション・業界

企業内税理士として高年収を狙うためには、配属されるポジションや業界選びが非常に重要です。

  • 経営企画や財務戦略部門など、経営陣に近い部署
  • M&A・連結決算を扱うポジション
  • 上場企業・外資系企業・ITベンチャーなど成長性の高い業界

特に上場企業では、連結納税・税効果会計・国際税務などの高度な知識を必要とする業務に携われるため、希少性のあるスキルが年収に直結しやすくなります。また、IPO準備企業では、税務・財務体制の構築を任される場面が多く、ポジションによっては一気に年収が跳ね上がることもあります。

業界別では、金融、製薬、ITなど利益率が高く、財務管理が厳格な業種で税理士の評価が高まっています。

「経理は横並びの給与が多い」と思われがちですが、配属先の戦略性次第で大きな差が生まれるのが企業内の特徴です。

CFO・経営企画など将来のキャリアパス

企業内税理士としてキャリアを積み重ねていくと、将来的には経営に近いポジションへの道も開けてきます。

たとえば、経理・財務部門のリーダーからスタートし、管理会計や資金調達に関わることで財務部長、さらにはCFO(最高財務責任者)への昇進も視野に入ってきます。また、経営企画部門に異動し、予算策定や事業戦略の立案に携わることで、経営判断に貢献する立場として活躍できるケースもあります。

こうしたキャリアパスは、専門性だけでなく「ビジネス全体を俯瞰する力」や「他部署との連携能力」など、幅広い視野とスキルが問われる領域です。

「税務の仕事しかできないと思っていた…」という方でも、企業内ではキャリアの選択肢が大きく広がる可能性があるのです。

一般企業への転職を成功させるステップ

自己分析と転職理由の整理

転職を成功させるための第一歩は、徹底した自己分析と転職理由の明確化です。

特に税理士の場合、「なぜ会計事務所から企業へ移りたいのか」「企業でどのような貢献ができるのか」といった動機が選考の重要な判断材料になります。

  • これまでのキャリアで何を学び、どんな強みを身につけたか
  • 一般企業で実現したい働き方やキャリアビジョンは何か
  • 業務内容・ワークライフバランス・成長機会など、転職の軸を明確に

面接時にもこの部分を深掘りされるため、論理的に説明できるようにしておくことが大切です。「なんとなく会計事務所が合わなかった」では説得力に欠けるため、前向きな理由に言い換えて整理しておきましょう。

「動機が弱いと落とされる?」と不安になるかもしれませんが、丁寧に整理することで信頼性のある印象を与えることができます。

求人の探し方(転職サイト・エージェント活用)

税理士が一般企業へ転職する際は、情報収集と求人の選定が重要なステップとなります。

まず基本となるのが、転職サイトや転職エージェントの活用です。

  • ビズリーチやJACリクルートメントなどハイクラス向けエージェント
  • MS-Japanなど士業・管理部門に特化した転職サービス
  • リクナビNEXT・dodaなど大手総合型の求人サイト

税務職や経理職に絞った検索が可能なプラットフォームを活用することで、ミスマッチを防ぎやすくなります。加えて、企業の規模・業界・働き方(リモート可など)といった条件を明確にしておくと、より自分に合った求人に出会える確率が高まります。

エージェントを活用すれば、書類添削や面接対策といったサポートも受けられ、初めての企業転職でも安心感があります。

「どこから探せばいいかわからない…」という方は、まず1〜2社に登録して情報収集から始めてみるのがおすすめです。

面接でアピールすべきポイント

企業への転職面接では、税理士としての知識だけでなく、企業で活かせる実務経験やスタンスを的確に伝えることが求められます。

重要なのは「企業側の立場で何を期待されているか」を理解したうえで、自身の強みをアピールすることです。

  • 業務効率化やペーパーレス化の経験
  • 税務だけでなく、管理会計や財務分析にも関心がある姿勢
  • 事業理解を深め、経営判断に貢献する意欲

これまでの会計事務所での対応力や顧客対応の経験は、社内外の調整役として活きる場面が多くあります。面接では、エピソードを交えて具体的に話せるようにしておくと説得力が増します。

「会計業務しかしてこなかった自分に何が伝えられるのか?」と悩むかもしれませんが、「専門家視点からの改善提案」ができること自体が、企業にとって大きな価値です。

ケーススタディで学ぶ転職成功例

会計事務所から一般企業へ転職した事例

ここでは、実際に会計事務所から企業に転職した税理士のケースを紹介します。

30代前半のAさんは、会計事務所で中小企業の税務顧問を担当していました。決算申告や経営者対応の経験を積んでいましたが、繁忙期の長時間労働や将来のキャリアに不安を感じ、転職を決意。転職エージェントを活用し、メーカー系の上場企業の経理職に内定しました。

面接では、「クライアントと信頼関係を築きながら業務改善を進めてきた経験」や「クラウド会計導入支援の実績」をアピール。入社後は税務申告・月次決算に加えて、原価計算や予算管理にも携わり、業務の幅を広げています。

「企業での実務経験がないから不利」と感じていたAさんでしたが、丁寧に経験を棚卸しした結果、企業側から高い評価を受けました。

BIG4出身者のキャリアチェンジ例

大手税理士法人(いわゆるBIG4)で働いていたBさんは、30代後半で一般企業への転職を実現しました。

主に国際税務や移転価格対応を中心としたコンサル業務に従事していたBさんは、「もっと事業に近い立場で税務戦略を描きたい」という想いから、外資系IT企業の税務マネージャー職へ転職。

BIG4で培った高度な専門知識とプレゼン力を活かし、面接では「クロスボーダー取引の税務リスク管理」や「BEPS対応におけるプロジェクト推進経験」などを具体的に説明。結果として、希望以上の待遇でオファーを獲得しました。

入社後は、海外子会社との連携を含むグローバル税務戦略を担い、CFOとも連携しながら意思決定に関わるポジションで活躍中です。

「企業での経験がないとマネージャーにはなれないのでは?」という不安を持つ人もいますが、コンサル出身者の場合はその実績がダイレクトに評価されやすい環境もあります。

一般企業から税理士法人へ戻った事例

転職した後、再び税理士法人に戻るという選択をする人もいます。

40代前半のCさんは、大手食品メーカーの経理部門で税務業務を担当していました。数年勤務する中で「より幅広い業種の案件に携わりたい」という思いが強まり、税理士法人への再転職を決意。

企業内で得た「事業会社視点の税務運用」や「部門間調整の経験」を強みとしてアピールし、ミドルクラスのポジションで中堅税理士法人に転職しました。

結果的に、顧問先への提案力や現場理解力に厚みが増し、即戦力としての活躍が評価されています。

「一度企業に出たら戻れないのでは…」と不安に感じる方も多いですが、むしろ多様な経験を持つ人材は法人側でも高く評価される傾向があります。

よくある質問と疑問を解決(FAQ)

一般企業でも実務経験年数は評価される?

はい、会計事務所や税理士法人での実務経験は、企業においても十分に評価対象となります。

特に以下のようなスキル・経験がある場合は、選考上で強みとして活かすことができます。

  • 税務申告や月次・年次決算の経験
  • クライアント対応による柔軟な対応力
  • 業務効率化やクラウド会計の導入支援実績

また、3年〜5年以上の継続的な実務キャリアがあれば、企業側も「地に足のついた実務スキル」として信頼を寄せる傾向があります。

「会計事務所での経験が企業で通用するのか不安…」という方も、視点を変えれば大きな武器になるのです。

科目合格でも応募できる求人はある?

はい、科目合格の段階でも応募可能な求人は多数存在します。

特に評価されやすいのは法人税法や消費税法など、実務に直結する科目を合格している場合です。企業側は「資格よりも実務経験」を重視するケースも多く、一定のスキルがあることを証明できれば採用に至ることもあります。

また、「資格取得を目指していること」自体が前向きな姿勢として評価されることもあり、勉強継続中であることをポジティブに伝えることが大切です。

「まだ税理士登録していないから不利かも…」と心配になる必要はありません。将来性やポテンシャルを評価する企業も多いのが現状です。

税理士資格を活かせる異業種は?

税理士資格は、必ずしも経理や財務だけでなく、さまざまな分野で活用できます。

  • コンサルティング会社でのM&A・事業再生アドバイザリー
  • 金融機関(銀行・証券)での法人営業や審査部門
  • スタートアップ支援やベンチャーキャピタル業務
  • 教育・研修業界での講師やコンテンツ企画

また、近年では法改正対応やガバナンス強化の流れを受けて、内部監査やリスク管理部門などでも税務知識が評価される場面が増えています。

「企業内税理士」としての枠を超え、柔軟にキャリアの幅を広げていくことができるのが、税理士資格の大きな強みです。

まとめ:税理士資格は企業転職でも強力な武器になる

税理士が一般企業へ転職する動きは年々活発になっており、これは単なる一時的な流行ではなく、市場の変化と企業のニーズの高まりによる必然です。

理由として、企業は自社内で税務対応力を強化したいという動機から、税理士を積極的に採用しています。また、働き方改革やリモートワークの普及により、税理士の専門性がより柔軟に活かせる環境も整いつつあります。

  • 企業の経理・財務部門で税理士の専門性が求められている
  • 年収・待遇面でのメリットも大きく、キャリアの幅が広がる
  • 会計事務所での経験は企業でも十分に評価される
  • 科目合格でも意欲や実績次第でチャンスは多い
  • CFOや経営企画など、上位職へのキャリアパスも目指せる

したがって、「今の環境に不満がある」「キャリアの可能性を広げたい」と感じている税理士の方は、ぜひ一般企業への転職も視野に入れてみるべきです。

税理士という専門資格は、企業でこそ“戦略的な武器”になる──それがこの記事でお伝えしたかった最大のメッセージです。

ABOUT US
転職ポータル 編集部
転職ポータル 編集部
キャリアアドバイザー / ライター
「誰もが納得のいくキャリアを実現する」を目指して活動する転職情報の専門チーム。

・転職ってよくわからない
・転職したいけど、上手くいくか不安
そんな方でもキャリアUPができる転職情報をお届けします。
記事URLをコピーしました