弁護士の転職が難しい7つの理由と成功する対策集

「弁護士として転職を考えているけど、なかなかうまくいかない…」

そんな悩みを抱える方は意外と多いのではないでしょうか。

たとえ資格を持っていても、キャリアの方向性や求人の選び方次第では、転職活動が長期化してしまうことも珍しくありません。

実際、弁護士の転職には独自の難しさがいくつも存在します。

この記事では、転職を難しくしている背景や失敗しやすいケースを明らかにしたうえで、転職成功のポイントを具体的に解説します。

読み進めることで、あなた自身に合った転職の進め方がきっと見えてくるはずです。

• 弁護士転職が難しい理由をわかりやすく解説
• 難易度が上がる転職パターンを事例で紹介
• 転職がうまくいかない人の共通点を分析
• 成功するための準備と対策を徹底紹介
• 実際に転職に成功した弁護士の体験談も掲載

転職活動に不安を感じている方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

弁護士転職が難しいと言われる理由

弁護士数の増加による競争激化

弁護士の転職が難しいとされる背景には、業界全体の競争の激化があります。

• 法科大学院制度の導入により新規登録者数が増加
• 一部都市圏に人材が集中し、ポストが飽和
• 若手・即戦力志向の事務所が増加

このような環境では、経験年数が短い弁護士やスキルに乏しい層は書類選考で苦戦しやすい傾向があります。特に大手や人気のある事務所では、優秀な応募者が殺到するため、競争が熾烈になるのです。

「弁護士資格があれば転職に困らない」といった時代はすでに過去のものとなっています。

AI・他士業の台頭による需要変化

近年、法律業務においてもAIやRPA（業務自動化ツール）の活用が進み、従来の定型業務は弁護士に頼らずとも対応できるようになりつつあります。

たとえば、契約書作成やリーガルチェックは、AIツールの導入により精度とスピードの両立が図られ、業務効率化が進行中です。また、社労士や行政書士などの他士業が一部業務を代替するケースも増えています。

その結果、弁護士としての付加価値や専門性がないと、求人の選考で不利になるケースが目立つようになりました。

年収とスキル格差の拡大

弁護士業界では、勤務先の規模や業務内容によって年収や評価されるスキルに大きな差が生じています。

• 五大法律事務所や外資系は年収1,000万円超が標準
• 地方の小規模事務所では年収400万円〜600万円程度も
• 英語力、M&A、危機管理などの専門スキルが求められやすい

このような格差の中、自分の現在地を見誤ったまま転職活動を始めると、書類落ちや面接での不一致が続き、結果として「転職が難しい」と感じてしまいます。

まずは自己分析を行い、自身の市場価値や方向性を明確にすることが、転職成功の第一歩です。

難易度が上がるケース

五大法律事務所への転職を希望するケース

五大法律事務所（西村あさひ、長島・大野・常松、森・濱田松本、アンダーソン・毛利・友常、TMI総合法律事務所）への転職は、非常に高い難易度を伴います。

• 高度な専門知識と実務経験が必須
• 司法試験成績や英語力が重視される
• 新卒採用時からの関係構築が強みになることも

これらの事務所では、M&A、金融、国際訴訟といった高度な案件を扱うため、即戦力としての資質が求められます。また、同等のハイレベルな法律事務所に在籍していた経歴や留学経験なども評価の対象になります。

「今の職場では挑戦できない」と感じたら、段階的にブティック系事務所などを経てキャリアアップを狙う戦略も有効です。

専門分野を変更するケース

民事から刑事へ、もしくは企業法務からベンチャー法務へなど、専門分野を変えての転職は難易度が上がります。

なぜなら、採用側は「即戦力」を前提に求人を出していることが多く、未経験の分野には不安を感じやすいためです。

このような場合は、業務の一部で関わった経験や自主的な学習実績、関連資格の取得などを通じて、志望分野への熱意と適性をアピールする必要があります。

転職回数が多い・キャリアに一貫性がないケース

転職歴が多い、あるいは業務内容に一貫性がない場合、選考時に「短期離職リスクがある」と見なされる可能性が高くなります。

• 1〜2年での離職が続いている
• 職務内容がバラバラで方向性が見えない
• 職歴の説明に一貫した理由がない

こうしたケースでは、キャリアに一貫性を持たせるための「ストーリー構築」が重要です。過去の経験をどう活かし、次の職場で何を実現したいのか、論理的かつ情熱を持って伝えることが信頼感につながります。

企業内弁護士から独立系へ転身するケース

企業法務部門で働くインハウスローヤーから、法律事務所や個人開業に戻るケースもありますが、これは逆転のキャリアチェンジとして一定の難易度があります。

企業内の文化に慣れた人材が、激しい受任競争や集客活動のある独立系で再び成果を上げられるか、採用側が懸念を抱く場合があるためです。

このような移行を希望する場合は、専門性の維持や実務力のアピール、また「なぜ戻りたいのか」を説得力ある言葉で説明する準備が欠かせません。

転職が難しいと感じる弁護士の特徴

自己分析が不十分で強みを言語化できない

転職活動において最も基本かつ重要なステップが「自己分析」です。

これが不十分なまま動き出すと、自分の強みや適性をうまく伝えられず、面接や書類選考で説得力を欠いてしまいます。

特に弁護士の業務は幅広いため、自身の経験の中で何を強みとするのか、どのような価値を企業や事務所に提供できるのかを明確にする必要があります。

「自分の武器がわからない…」という不安は、丁寧な棚卸しで克服できます。

志望動機やキャリアビジョンが曖昧

「なぜ転職するのか？」「なぜその事務所・企業なのか？」という質問に明確に答えられない人は、選考で不利になる可能性が高いです。

• 環境への不満だけを理由にしている
• 仕事内容への理解が浅い
• キャリアの将来像が描けていない

これらに当てはまる場合、相手企業に「長期的に働いてくれるのか」「本気度があるのか」と不安を与えてしまいます。

転職はあくまで「目的達成の手段」であり、その軸がなければ選考突破は難しくなります。

情報収集不足・エージェント活用をしていない

転職がうまくいかない人の多くに共通するのが「準備不足」です。

求人情報の収集が足りなかったり、選考の傾向や企業の文化を知らずに応募したりすると、ミスマッチが起きやすくなります。

また、弁護士の転職市場は一般職と異なり、非公開求人も多いため、業界特化型の転職エージェントを活用することで、選択肢を広げ、選考対策の精度も高めることができます。

希望条件が多すぎる・高すぎる

年収、勤務地、勤務時間、業務内容など、すべての条件を完璧に満たす求人はほとんど存在しません。

• 「年収1,000万円以上、完全在宅、残業なし」を求める
• 「未経験分野かつ高待遇」を同時に希望する

このようなケースでは選択肢が極端に狭まり、紹介できる求人がなくなってしまうこともあります。

転職活動では、「何を優先し、何は妥協できるか」の整理が大切です。現実的な視点で臨むことが、納得できる転職を実現する近道になります。

転職市場の現状と動向

企業法務市場のニーズと求人数

近年、企業法務分野の転職市場は拡大傾向にあります。

コンプライアンスの強化やM&Aの活発化、スタートアップの増加などを背景に、社内でリーガル体制を整備しようとする企業が増えているからです。

• 法務人材の採用を強化する上場企業が増加
• IPO準備中のベンチャーでも法務担当の需要が高まる
• 契約法務・リスクマネジメント・海外法務の求人が増加傾向

求人数が増えている一方で、即戦力人材への需要が高く、未経験者や汎用スキルだけではマッチしづらいという点には注意が必要です。

インハウスローヤー需要の拡大

法律事務所から企業へ転職する「インハウスローヤー」は、近年特に注目されているキャリアパスです。

企業内での意思決定支援や法的リスクの管理、グローバル展開におけるリーガルサポートなど、役割の幅が広がっており、事業成長に直結する存在として求められています。

とくに法務部門を内製化したい中小企業や、英語対応が必要な外資系企業での需要が目立ちます。

ただし、企業文化や経営陣との関係構築も求められるため、法律知識だけでなくコミュニケーション力も重視される点が特徴です。

40代以上の法務転職事情

40代以上の弁護士にとっての転職は、20〜30代とは異なるハードルがあります。

• マネジメント経験が求められるポジションが中心
• 若手よりも業務範囲の広さや柔軟性が期待される
• 年収水準が既に高いため、企業との折り合いが難しい

しかし、管理職やチームリーダーとしての経験、交渉力や事業理解が強みとなれば、即戦力として評価されるケースも多くあります。

年齢によるハンデは「強みの明確化」と「戦略的な応募先の選定」で乗り越えることが可能です。

地域別・業界別の求人トレンド

弁護士の求人は、地域や業界によって傾向が異なります。

首都圏では大手企業やスタートアップの求人が豊富で、地方では医療法人や地場企業などの法務需要が安定的に存在します。

業界で見ると、IT・金融・製造業など法務体制の整備が求められる分野が活発です。とくにデジタル分野では、プライバシー対応やインターネット関連法務の専門性が重宝されています。

地域性や業界動向を踏まえた情報収集が、効率的な転職活動を進めるうえで欠かせません。

難易度を下げるための対策・成功ポイント

自己分析とキャリアプランの設計

転職活動の成功において、まず最初に取り組むべきなのが「自己分析」です。

これまでの経験やスキル、得意分野を整理し、自分がどのようなポジションで活躍できるのかを明確にしておくことで、応募書類や面接でのアピール力が格段に向上します。

さらに、「5年後・10年後にどうなっていたいか」といったキャリアの方向性を描くことで、職場選びの軸もぶれにくくなります。

スキルアップ・専門分野の深掘り

弁護士業界においては、年齢や経験年数以上に「何ができるか」が問われます。

• 英語や中国語など語学スキルの習得
• M&A、労働法、IT法務などの専門性強化
• 企業法務における業務経験の積み上げ

これらを通じて、「この人にしかできない」分野を築くことで、市場価値を高められます。

特にインハウスや外資系などは即戦力を求める傾向が強いため、実務経験と学習の両輪が欠かせません。

応募書類・職務経歴書の書き方

弁護士の職務経歴書では、「どんな案件を、どのような立場で、どんな成果を出したか」を具体的に記載することが重要です。

単なる業務の羅列ではなく、案件の背景や工夫したポイント、結果として企業や依頼者にどんな価値をもたらしたかまで言及しましょう。

また、読み手が専門家ではないことを想定し、専門用語は丁寧に説明しながら伝える工夫も必要です。

「この人に会ってみたい」と思わせるような文章に仕上げることを意識しましょう。

面接でアピールするポイント

面接では、論理的思考力・対人折衝力・主体性といったビジネススキルも問われます。

• 志望動機は「共感」＋「貢献」の構成が効果的
• 自己紹介で実績・強み・ビジョンを明確に伝える
• 失敗経験や課題対応の具体例を用意しておく

「法律知識があること」は前提であり、選考で差がつくのは「どう伝えるか」「どんな姿勢で働くか」といった部分です。

緊張する場でも自然体で伝えられるよう、事前の準備と模擬練習を重ねて臨みましょう。

弁護士特化型転職エージェントの活用方法

転職の成功確率を高めるには、弁護士業界に詳しい専門の転職エージェントを活用するのが効果的です。

非公開求人の紹介はもちろん、応募書類の添削や模擬面接の実施、キャリアの棚卸し支援など、幅広いサポートを受けられます。

また、自分では気づかなかった適性や市場価値を知ることができ、客観的なアドバイスも得られる点が大きなメリットです。

複数社を併用することで比較検討も可能になり、より自分に合ったキャリア選択ができるようになります。

転職を成功させた弁護士の事例

ブティック系法律事務所から五大事務所へ

30代前半の弁護士Aさんは、企業法務を専門とするブティック系法律事務所に在籍していました。

M&Aやファイナンス案件を中心に経験を積んでいたものの、より大規模で国際的な案件に携わりたいという思いから、五大法律事務所への転職を決意。

職務経歴書では、具体的な案件内容や自らの工夫・成果を記載し、さらに英語力の証明としてTOEICスコアも提示しました。

事前の模擬面接で想定問答を練習し、本番では冷静かつ論理的に受け答えを実施。その結果、第一志望の事務所から内定を獲得しました。

企業法務から総合商社法務部へ

40代のBさんは、中堅企業の法務部で10年以上にわたり契約法務・コンプライアンス対応・訴訟支援を経験していました。

よりグローバルなフィールドで活躍したいと考え、総合商社の法務部門を志望。

志望動機では「攻めの法務」を意識したいという姿勢を強調し、これまでの社内連携力や業務改善の実績をもとにアピール。

結果、国内外の案件を扱うポジションでの採用が決定し、キャリアアップと年収アップを同時に実現することができました。

外資系への転身で年収アップに成功したケース

35歳のCさんは、国内の大手法律事務所で企業法務を中心に活動していました。

さらなる年収アップと国際案件への関与を目指し、外資系のコンサルティングファームの法務部門へチャレンジ。

• 英語での契約交渉経験
• 多国籍チームとの協働スキル
• ロジカルな問題解決力

これらを具体的なエピソードで語ったことで、企業側から「即戦力」と高く評価され、オファー年収は前職の1.5倍に。

その後も業務を通じてスキルを磨き、マネージャーポジションへの昇格も見据えています。

よくある質問（FAQ）

弁護士の転職に適したタイミングは？

弁護士の転職に「絶対的なベストタイミング」は存在しませんが、目安としては以下のようなケースが挙げられます。

• 現在の業務内容に成長の限界を感じたとき
• スキルや実績が一定レベルに達したとき（入所3年目以降が目安）
• 希望するポジションの求人が市場に出ているとき

焦って動くよりも、キャリアの方向性を明確にし、じっくりと準備を整えてから行動に移すことが成功率を高める鍵となります。

年齢が高いと不利になる？

年齢だけで不利になるわけではありませんが、年齢が上がるほど求められるスキルや役割の水準が高くなる傾向があります。

たとえば40代以上であれば、マネジメント経験や組織貢献の姿勢、専門領域での実績などが評価ポイントとなります。

また、若手の育成やチーム連携といった「年齢相応の価値」を打ち出せるかがカギになります。

法律事務所と企業法務、どちらがキャリアアップに有利？

どちらが有利かは「自分がどんなキャリアを描きたいか」によって変わります。

• 法律事務所：専門性を深めたい、自分で案件を受任したい人向け
• 企業法務：事業に近い立場で仕事をしたい、安定した働き方を望む人向け

両者の違いを理解し、自分の価値観やライフスタイルに合う環境を選ぶことが最も重要です。

まとめ：弁護士転職の壁を乗り越えるには「準備」と「戦略」がカギ

弁護士の転職は確かに難易度が高い場面もありますが、正しい情報と戦略的な準備があれば十分に成功は可能です。

競争激化やAIの台頭といった外部環境の変化はありますが、それに応じたスキルの磨き方や市場選び、転職の進め方を実践すれば、キャリアアップのチャンスは多く存在しています。

以下のようなポイントを押さえることで、転職成功の可能性は高まります。

• 自己分析を徹底し、自分の強みと希望条件を明確にする
• 専門性やスキルを高め、市場での競争力をつける
• 職務経歴書や面接対策を緻密に行い、アピール力を高める
• 転職エージェントを活用し、非公開求人や選考対策の情報を得る
• 希望条件に優先順位をつけ、柔軟な思考で求人を探す

「転職が難しい」と感じたときこそ、丁寧な準備と情報収集を重ねることが重要です。本記事の内容を参考に、自分らしいキャリアを築く一歩を踏み出してください。

転職ポータル 編集部

キャリアアドバイザー / ライター

「誰もが納得のいくキャリアを実現する」を目指して活動する転職情報の専門チーム。

・転職ってよくわからない
・転職したいけど、上手くいくか不安
そんな方でもキャリアUPができる転職情報をお届けします。